公益通報者保護法が2026年12月1日に改正施行。通報者探しや報復人事も問題に!

2026年12月1日、改正公益通報者保護法が施行されます。
今回の改正では、内部通報制度の体制整備の実効性を高めることに加え、通報者の保護範囲が広がり、通報を妨げる行為や報復的な処分への規制が強化されます。
「会社の内部情報を外部に漏らした社員を調べたい」
「会社に不利益な通報をした社員だから、処分を検討したい」
こうした場面では、会社側の対応そのものが法的な問題になる可能性があります。
今回は、2026年12月1日施行の改正内容から、経営者が特に知っておきたい点を整理します。
※この記事では、2026年12月1日施行の改正法の内容を説明しています。施行日前に読む場合は、改正前の取扱いと区別してください。
1.今回の法改正では、何が変わる?

公益通報者保護法が改正されるそうですが、主な変更点は何でしょうか?

今回の改正は、大きく4つに整理できます。
まず、会社が内部通報を適切に扱うための体制整備を、より実効性のあるものにすること。
次に、法律上保護される通報者の範囲を広げること。
さらに、公益通報を妨害したり、通報者を特定しようとしたりする行為への規制です。
そして、公益通報を理由とする解雇や懲戒処分について、通報者の救済を強化する仕組みが導入されます。
これまで以上に、社内通報の受付・調査・是正と、不利益な取扱いを防ぐ人事労務管理が重要になる改正です。
2.フリーランスや退職した人も保護される?

当社では、外部の業務委託先やフリーランスにも仕事を依頼しています。
そうした人からの通報も対象になるのでしょうか?

今回の改正により、一定の業務委託関係にあるフリーランスや、業務委託関係が終了して1年以内の者なども、公益通報者として保護される範囲に加わります。
ただし、あらゆる取引先や外注先が無条件に対象となるわけではありません。法律の要件に該当するか確認が必要です。
例えば、会社が業務を委託しているフリーランスから法令違反について通報があったとき、通報したことを理由に不利益な取扱いをすることは問題になります。
内部通報制度を見直す際は、正社員だけでなく、法律上の対象となる外部人材も想定しておく必要があります。
3.誰が通報したのか、会社が調べてはいけない?

匿名で通報があった場合、誰が通報したのか気になると思います。
会社が通報者を探すことも禁止されるのでしょうか?

改正法では、正当な理由なく公益通報者を特定することを目的とする行為が禁止されます。
また、公益通報をしないよう求める合意や、通報を妨げる行為についても規制が設けられます。
例えば、「通報者を見つけて処分する」と伝えたり、通報の撤回を迫ったりする対応は避けなければなりません。
ただし、通報内容の事実確認のために必要な調査まで、すべて禁止されるわけではありません。
不正行為の事実を調べることと、通報した人を探し出して不利益を与えようとすることは、明確に区別する必要があります。
4.公益通報の後に社員を解雇すると、必ず違法になる?

公益通報をした社員が、その後も業務上の問題を繰り返す場合はどうでしょうか。
会社は解雇や懲戒処分をできなくなるのでしょうか?

公益通報をした社員について、正当な理由に基づく処分まで一律に禁止されるわけではありません。
ただし、今回の改正では、公益通報後の一定期間内に行われた解雇や懲戒処分について、通報を理由とするものと推定する規定が設けられます。
原則として、公益通報から1年以内の解雇・懲戒が対象です。外部通報の場合には、会社が通報を知った日を基準とする場合もあります。
この推定が働く場合、会社側が「公益通報を理由とした処分ではない」ということを立証する必要があります。
つまり、通報者に業務上の問題があると考える場合でも、その問題の具体的事実と、処分を判断した根拠を客観的に説明できることが一層重要になります。
なお、この推定規定は、解雇・懲戒について定めたものであり、あらゆる人事措置に同じ推定が働くわけではありません。
5.通報を理由に懲戒処分をすると、刑事罰もある?

これまでも不当な解雇は無効になる可能性がありましたが、今回はさらに厳しくなるのでしょうか?

はい。改正法では、公益通報を理由として解雇や懲戒処分を行った場合について、一定の要件の下で刑事罰が導入されます。
違反した個人には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人には3,000万円以下の罰金が科される可能性があります。
ただし、公益通報者に対する解雇や懲戒がすべて自動的に犯罪となるわけではありません。通報を理由とする処分に該当するかなど、法定要件に基づく判断が必要です。
会社が注意すべきなのは、通報を受けたことへの反発から、解雇・懲戒・降格・不利益な配置変更などを行わないことです。
また、判断に迷う場合は、通報の事実と、別の業務上の問題を混同しないよう、客観的な資料に基づいて慎重に対応すべきです。
まとめ
2026年12月1日施行の改正公益通報者保護法では、通報者の範囲が広がり、通報妨害・通報者探索の禁止や、解雇・懲戒に関する規制が強化されます。
経営者にとって重要なのは、通報された内容だけでなく、通報を受けた会社側が、その後どう行動するかです。
適切な調査、秘密保持、利益相反の回避、不利益な取扱いの防止を、社内で実際に運用できるようにしておきたいところです。
オフィスキタでは、就業規則、服務規律、社内通報・相談に関する規程整備、問題社員対応、人事労務管理上の支援を行っています。
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