大規模な個人情報漏えいを受け、国が注意喚起。中小企業も確認したい6つの対策

「うちは大企業ではないし、個人情報の漏えいなんて関係ない」

そう考えている経営者もいるかもしれません。

ところが、会社のパソコンには従業員名簿や給与データ、採用応募者の履歴書、取引先担当者の情報など、多くの個人情報が保存されています。

2026年10月7日、個人情報保護委員会は、近年の大規模な個人データの漏えい等の事案を踏まえ、事業者に対する注意喚起を公表しました。

あわせて、不正アクセスによる漏えいの原因と対策を整理した資料も改訂しています。

その内容を見ると、特別なサイバー攻撃への対策だけでなく、会社が日頃から行っているデータの保存や管理の仕方にも、見直すべき点があることが分かります。

今回は、中小企業の経営者が確認しておきたいポイントを整理します。

1.個人情報の漏えい対策は、大企業だけの問題?

社長

最近、大規模な情報漏えいのニュースをよく見ます。

でも、うちのような中小企業が狙われることもあるのでしょうか?

北

今回の注意喚起は、特に大量の個人情報や機微性の高い情報などを保有する事業者に強く対応を求めています。

ただ、個人情報保護法による安全管理措置は、大企業だけの問題ではありません。

会社の規模に応じて必要な対応は異なりますが、中小企業でも、従業員情報や顧客情報の管理状況を確認しておくことが大切です。

委員会が紹介した事例では、システムの更新が遅れていたことや、アクセス権限の管理が不十分だったことなどが、漏えいにつながっていました。

つまり、高額なセキュリティ製品を導入する前に、社内で誰が何を管理しているかを確認することにも意味があるのです。

2.従業員がデスクトップに保存した名簿も問題になる?

社長

採用担当者が応募者の履歴書をパソコンに保存したり、給与計算の担当者が作業用ファイルを個人フォルダに置いたりすることはあります。

それも注意が必要ですか?

北

はい。今回の資料で、特に注目したい事例です。

委員会は、従業員が業務用の個人データを個別に管理する領域へ保存しており、不正アクセスを受けた際に、そのデータまで漏えいした事案を紹介しています。

しかも、会社として把握していない古いデータが残っていたことで、被害が拡大したケースも示されています。

重要なのは、会社が「どこに、どのような個人データが保存されているか」を把握していることです。

保存場所を決める、担当者にルールを周知する、定期的に不要なファイルがないか確認するといった管理が考えられます。

3.退職した社員のデータは、残しておいてはいけない?

社長

退職した社員の情報や、何年も前の応募者の履歴書データが残っていることもあります。

古い情報は全部削除すべきなのでしょうか?

北

4.給与計算を外部委託していれば、会社は安心?

社長

給与計算や人事システムを外部に任せている会社も多いと思います。

管理を委託しているなら、情報漏えい対策も委託先に任せてよいのでしょうか?

北

そこも注意が必要です。

今回の資料には、グループ会社の給与計算や人事管理を親会社が一括して行っていたところ、管理上の不備から個人データが漏えいした事例が紹介されています。

問題となったのは、情報を預かった側だけでなく、委託した側が必要な監督を行っていなかったことです。

外部の給与計算会社やクラウドサービスを利用する場合も、サービスの内容や個人データの取扱関係に応じて、安全管理状況の確認や委託先の監督を検討する必要があります。

「外部に任せたから、会社には関係ない」とは考えない方がよいでしょう。

5.では、中小企業は何から見直せばいい?

社長

専門的なシステムの話は難しいですし、何から手を付ければよいか分かりません。

最初に確認するなら、どこでしょうか?

北

まずは、次の6つを確認することをおすすめします。

① 個人データの保存場所

従業員名簿、給与データ、応募者情報などが、どのパソコンやシステムに保存されているか。

② 閲覧・操作できる人の範囲

必要な担当者だけがアクセスできるか。人事異動や退職後の権限も適切に変更しているか。

③ パソコンやシステムの更新

OS、業務ソフト、ネットワーク機器などを更新し、誰が管理するか決まっているか。

④ パスワードと認証

簡単なパスワードや使い回しを避け、重要なシステムでは多要素認証なども検討しているか。

⑤ 委託先・クラウドサービスの確認

個人データを預ける委託先について、必要な安全管理や監督を行っているか。

⑥ 不要データの整理

法律上の保存義務や業務上の必要性を確認し、不要になった情報を放置していないか。

これらは今回の公表資料を中小企業向けに整理した確認項目です。すべての会社に同じ設備や手法が一律に義務付けられているという意味ではありません。

また、委員会は、今後のガイドライン見直しを見据え、不正アクセスの早期検知や被害拡大防止についても対策例を示しています。具体的な技術対策は、必要に応じてシステム管理会社等と確認することが重要です。

まとめ

情報漏えいというと、高度なサイバー攻撃や専門的なセキュリティ機器の問題だと思われがちです。

しかし、今回の公的資料には、従業員が個別に保存していたデータ、適切に変更されていないアクセス権限、委託先への監督不足など、会社の日常的な管理体制に関わる問題が数多く紹介されています。

大切なのは、**「情報を守る仕組みがあるか」だけでなく、「その仕組みを社内で実際に運用できているか」**という点です。

オフィスキタでは、中小企業の労務管理、就業規則・社内ルールの整備、総務・人事業務の運用支援などを行っています。

従業員情報の取扱いに関する社内ルールや、総務・人事部門の管理体制を見直す際には、ご相談ください。

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投稿者プロフィール

北 健夫
北 健夫社会保険労務士・行政書士
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