社員が生成AIに顧客リストを入力。前職の営業秘密を持ち込んだ場合も会社は注意!

生成AIを使えば、顧客名簿の整理や営業資料の作成など、これまで時間がかかっていた作業を効率化できることがあります。

しかし、業務をよくしようという気持ちから、顧客情報や社内資料を外部サービスへ入力してしまうと、情報管理上の問題が生じる場合があります。

また、中途採用した社員が「前の会社の顧客情報を使えば売上を伸ばせます」と提案してくるケースにも注意が必要です。

今回は、生成AIの利用と前職の営業秘密の持込みについて、経営者が確認しておきたいポイントを整理します。

1.顧客リストを生成AIに入力してもよい?

社長

営業担当者が、顧客名簿の整理を生成AIに任せようとしていました。

業務を効率化するためなら、便利でよいと思うのですが。

北

生成AIの活用そのものが問題なのではありません。

ただし、顧客の氏名、連絡先、取引履歴などを外部の生成AIサービスへ入力する場合には、個人情報の取扱いや秘密保持の観点から確認が必要です。

特に、入力内容がサービス提供者にどのように取り扱われるのか、学習に利用されるのか、会社として利用を認めたサービスなのかが重要です。

個人情報保護委員会も、生成AIに個人データを入力する場合には、利用目的との関係やサービス提供者による機械学習への利用などを確認する必要があると示しています。

2.会社が認めていないAIを使ったら、すぐに情報漏えい?

社長

社員が個人で契約した生成AIに社内資料を入力したら、それだけで情報漏えいが確定するのでしょうか?

北

直ちにそう断定できるわけではありません。

サービスの仕組み、契約条件、入力した情報の内容、第三者への提供や保存の状況などによって判断は異なります。

ただ、会社が許可していない外部サービスに、顧客情報や機密資料を入力することは、大きなリスクになり得ます。

問題が分かった場合は、何を入力したか、どのサービスを利用したか、入力内容が保存・利用される仕組みになっているかを速やかに確認しましょう。

必要に応じて、情報システム担当者や専門家と連携することも重要です。

3.生成AIを禁止すれば問題は防げる?

社長

それなら、生成AIの使用を全面禁止するのが一番安全でしょうか?

北

業務の内容によっては、利用を制限する必要もあります。

しかし、生成AIには業務効率化のメリットがありますし、全面禁止だけでは実際の利用状況を把握できない場合もあります。

例えば、会社が認めたサービスだけを利用すること、顧客の氏名や連絡先などを許可なく入力しないこと、機密情報を含む資料は事前確認を受けることなど、具体的なルールを設ける方法が考えられます。

また、ルールを作るだけでなく、社員が判断に迷ったときに確認できる相談先を決めておくことも大切です。

4.中途採用した社員が、前職の顧客情報を持ってきたら?

社長

中途採用した営業社員が、「前の会社の顧客リストがあります。これを使えば営業成績が上がります」と言ってきたらどうでしょうか。

会社としてはありがたい話にも聞こえますが。

北

安易に受け取ったり、使用を指示したりしてはいけません。

前職の会社で秘密として管理され、事業活動に有用で、公然と知られていない情報は、不正競争防止法上の「営業秘密」に該当する可能性があります。

営業秘密の不正取得、使用、開示などは、一定の要件の下で民事上・刑事上の責任につながり得ます。

採用した社員本人だけでなく、持ち込まれた情報を利用する会社側にも問題が及ぶ場合があります。

まず、その情報の出所、前職での秘密保持義務、情報の管理状況などを確認する必要があります。

5.入社時と日常業務で、どんな対策ができる?

社長

情報の持込みも生成AIの利用も、社員任せにしておくのは危険ですね。

北

そうですね。両方に共通するのは、社員が「会社のためになる」と考えていても、その情報を自由に利用してよいとは限らないという点です。

入社時には、前職の秘密情報を持ち込まないことや、会社の情報管理ルールを説明しておきましょう。

また、日常業務では、生成AIへ入力してよい情報の範囲、許可されたサービス、上司への確認手順、情報管理上の問題が起きた場合の報告方法を明確にしておくことが大切です。

入社誓約書だけで終わらせず、就業規則や情報管理規程、実際の業務手順まで整えることが重要です。

まとめ

生成AIへの顧客情報の入力も、転職者による前職の営業秘密の持込みも、社員本人は会社の利益を考えて行っているかもしれません。

しかし、情報の利用には、個人情報保護、秘密保持、不正競争防止法などの問題が関係します。

大切なのは、便利だから、売上につながるからという理由だけで情報を使わず、会社として利用できる情報と、利用してはいけない情報を明確にすることです。

オフィスキタでは、就業規則、入社誓約書、服務規律、社内の情報管理ルールなどの整備を支援しています。

社員の生成AI利用や秘密情報の管理について、社内ルールを見直す際にはご相談ください。

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投稿者プロフィール

北 健夫
北 健夫社会保険労務士・行政書士
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