新人との距離感、どうすればいい?「声かけ」と「いじり」で考える職場の受け入れ方

新入社員や中途採用の社員が配属されたとき、迎える側の社員が戸惑うことがあります。

「積極的に話しかけた方がいいのか」

「余計なことを言って、ハラスメントだと思われたくない」

「早く仲良くなろうと、冗談を言っても大丈夫だろうか」

こうした迷いから、新人との距離を取りすぎたり、逆に親しくなろうと急ぎすぎたりすることがあります。

新人が安心して仕事を覚えられる職場をつくるには、迎える側の社員にどのような働きかけをすればよいのでしょうか。

今回は、社長とオフィスキタ代表・北のやり取りから考えます。

1.新人に気を使いすぎて、誰も話しかけない職場

社長

うちの営業部に、久しぶりに新人が配属されることになりました。

ところが、先輩社員たちが「今の新人には何を話せばいいか分からない」「下手に話しかけてハラスメントだと思われたくない」と言っているんです。

気を使うのはいいことですが、あまり話しかけないのも気になります。

北

その心配はもっともだと思います。

ハラスメントを防ごうとすることは大切ですが、必要なコミュニケーションまで控えてしまうと、新人は職場に居場所がないように感じるかもしれません。

一方で、早く打ち解けてもらおうとして、最初からプライベートな話題に踏み込みすぎることも避けたいところです。

大切なのは、無理に親しくなることではなく、仕事をするうえで安心して声をかけ合える関係をつくることです。

最初から特別な会話を用意する必要はありません。

日常の小さなやり取りを積み重ねることから始めるのがよいでしょう。

2.「声をかけて」と言っても、何を話せばいい?

社長

先輩社員には、もう少し新人に声をかけてほしいと思っています。

でも、「積極的にコミュニケーションを取って」と言うだけでは、何をすればいいのか分からないでしょうね。

北

そうですね。抽象的な指示よりも、具体的な行動を示す方が実践しやすくなります。

例えば、新人に資料を用意してもらったら「ありがとう」と伝える。

仕事を頼んだ後には「困っているところはない?」と聞いてみる。

終業時には「お疲れさま」と声をかける。

どれも難しいことではありません。

しかし、こうした小さなやり取りがあると、新人にとっても質問や相談をするきっかけが生まれます。

逆に、一日中ほとんど誰からも声をかけられなければ、「忙しそうだから質問しない方がいいのかな」と遠慮してしまうこともあるでしょう。

「新人と仲良くなってください」ではなく、「ありがとうと伝える」「困っていないか確認する」といった行動をお願いする。

その方が、先輩社員にも伝わりやすいと思います。

3.新人を「いじる」のもコミュニケーションでは?

社長

うちには、冗談を言って職場を盛り上げる社員もいます。

新人にあだ名をつけたり、失敗を笑い話にしたりして、距離を縮めようとすることもあります。

本人が笑っていれば、それほど問題はないのでしょうか?

北

そこは注意が必要です。

特に新人への「いじり」は、親しみを込めたつもりでも、相手に負担を与えることがあります。

新人は、まだ先輩社員との関係ができていません。

本当は嫌だと感じていても、職場の雰囲気を悪くしたくないために、笑って合わせてしまうこともあります。

例えば、容姿をからかったり、本人が気にしている失敗を繰り返し話題にしたりすることです。

周囲は盛り上がっていても、本人は「また何か言われるのでは」と緊張しているかもしれません。

「笑っていたから嫌ではなかった」と判断するのは危険です。

もちろん、職場での冗談がすべて問題になるわけではありません。

ただ、新人との関係づくりに、相手をからかう方法を使う必要はないでしょう。

先輩社員には、外見や失敗を笑いの材料にするのではなく、仕事上の会話や日々の声かけを通じて関係を築いてもらうことをおすすめします。

4.新人の指導担当者に任せておけば大丈夫?

社長

新人には教育担当の先輩をつける予定です。

その社員にコミュニケーションも任せておけば、課長や社長が細かく関わらなくても大丈夫でしょうか?

北

新人には教育担当の先輩をつける予定です。

その社員にコミュニケーションも任せておけば、課長や社長が細かく関わらなくても大丈夫でしょうか?

北:

指導担当者を決めるのはよい方法ですが、任せきりにはしない方がよいと思います。

新人と指導担当者がうまく意思疎通できていない場合、周囲には問題が見えにくいからです。

例えば、新人が質問しづらくて仕事を抱え込んでいる場合もあれば、指導担当者が気を使いすぎて、疲れてしまっている場合もあります。

営業職であれば、2人で外回りに出ることもあるでしょう。社内では問題がなさそうに見えても、移動中や訪問先でのやり取りまでは把握しにくいものです。

そこで、管理職が新人と指導担当者のそれぞれに、定期的に話を聞くことをおすすめします。

新人には「説明が分かりにくいところはないか」「質問できずに困っていることはないか」。

指導担当者には「教えるうえで困っていることはないか」「業務負担が大きくなっていないか」。

必要であれば、管理職自身が同行したり、業務の教え方を調整したりすることも考えられます。

新人だけでなく、教える側も支えることが管理職の役割です。

5.会社として、最初に何を伝えればよい?

社長

なるほど。新人本人だけを見ていても、十分ではないんですね。

では、配属前に先輩社員や管理職へ、どのようなことを伝えておくのがよいでしょうか?

北

私なら、まず次の5つを共有します。

  • 小さな声かけをする。 挨拶や感謝の言葉を大切にし、質問しやすい雰囲気をつくる。
  • 無理に距離を縮めようとしない。 私生活への踏み込みや、容姿・失敗などを題材にした「いじり」は避ける。
  • 質問先を明確にする。 新人が「誰に聞けばよいか分からない」という状態をつくらない。
  • 指導担当者にも目を配る。 教育を任せきりにせず、負担や困りごとを確認する。
  • 管理職が定期的に状況を確認する。 新人と指導担当者の双方から話を聞き、必要な業務調整につなげる。

そして、新人の受け入れは、配属初日だけ頑張れば終わりというものではありません。

仕事を覚え始めた頃や、任される業務が増えた頃にも、困りごとは変わってきます。

「何かあったら相談して」と伝えるだけでなく、会社の側から声をかける機会をつくることが大切です。

新人が働きやすい環境を整えることは、結果として指導する側の負担を減らし、職場全体の仕事の進めやすさにもつながります。

まとめ

新人とのコミュニケーションでは、距離を取りすぎることも、急いで親しくなろうとすることも、問題の原因になり得ます。

そのため、会社としては、先輩社員に「積極的に仲良くして」と伝えるだけでなく、具体的な行動を示しておくことが重要です。

例えば、仕事の中で「ありがとう」「困っていない?」と声をかけること。

一方で、容姿や失敗をからかうような「いじり」は避けること。

そして、管理職が新人と指導担当者の双方を支えること。

新人の受け入れは、新人本人の努力だけに任せるものではありません。迎える側の職場にも、準備と配慮が必要です。

こうした日々のコミュニケーションを整えることが、新人の早期離職や職場内の行き違いを防ぐ一つの土台になります。

オフィスキタでは、管理職による部下指導、職場のコミュニケーション改善、ハラスメント予防、就業規則や労務管理体制の整備など、中小企業の実情に応じた支援を行っています。

投稿者プロフィール

北 健夫
北 健夫社会保険労務士・行政書士
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北 健夫