強迫性障害で障害年金支給決定もある
強迫性障害とは、主に強い「不安」や「こだわり」によって日常に支障が出る病気です神経症の一種とされます。
神経症は障害年金の対象とはならないものであるため、強迫性障害も原則として障害年金の対象にはなりません。ところが症状によっては強迫性障害で障害等級2級が決定された事例もあるのです。
「強迫性障害」とは
そもそも強迫性障害とはどういったものでしょうか。
強迫性障害の症状には、「強迫観念」と「強迫行為」があるといわれています。
「強迫観念」とは、頭から離れない考えのことで、その内容が「不合理」だとわかっていても、頭から追い払うことができません。
「強迫行為」とは、強迫観念から生まれた不安にかきたてられて行う行為のことで、自分で「やりすぎ」であるとか「無意味」な行為とわかっていてもやめられません。
ここでは詳細は述べませんが例えば、「儀式行為」といって、自分の決めた手順でものごとを行わないと、恐ろしいことが起きるという不安から、どんなときも同じ方法で仕事や家事をしなくてはいられないといったものから、「不潔恐怖と洗浄」、「加害恐怖」、「確認行為」など、ほかにも様々な症状があります。
参考・引用 強迫性障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
言い換えれば、その人の環境・状況によって症状はある程度コントロールできたり、ある一定の環境になると症状が出なくなったりするものであると認識されていることによるものです。
神経症治療における臨床経験では、神経症の症状が現れることにより家族の同情を得られたり、もしくは嫌な仕事から逃れることができる保護的環境がなくなれば神経症の症状が消失することがしばしば観察されるとのことです。
重度の場合は障害年金の支給が認められることがある
厚生労働省の考え方としては「精神病質及び神経症についても障害の対象になるものであるが、・・・神経症については、通常その病状が長期にわたって持続することはないと考えられることから、原則として障害の状態 と認定しないものとすること。」となっており、この通達に基づいて障害年金不支給と判断されることが多いのです。
しかし、症状によっては強迫性障害が重度で、典型的なうつ病の症状を発症していなくてもうつ病との類縁が疑われるような場合であって、これによって「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と認められるときは、障害等級2級の決定がなされています。
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特定社会保険労務士・特定行政書士
北 健夫
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