外国人を雇用する会社が見直したいこと。在留カードの確認だけで大丈夫?

人手不足を背景に、中小企業でも外国人を雇用する機会が増えています。製造業や建設業、介護・福祉の現場などでも、外国人材が重要な役割を担うようになっています。

2026年には「外国人雇用管理指針」が改正され、在留カードの確認方法や日本語学習支援、労働条件の説明などについて、会社が押さえておきたい事項が見直されました。

外国人の採用手続だけでなく、採用後の労務管理についても確認しておきたいところです。

今回は、ある会社の社長とオフィスキタ代表・北のやり取りから、実務のポイントを整理します。

外国人雇用のルールは何が変わった?

社長

北さん、うちでも外国人社員を採用することになったんですが、外国人雇用のルールが改正されたと聞きました。

これまでも日本人社員と同じように労働条件を決めてきたんですが、それだけでは足りないんでしょうか?

北

日本人社員と同様に、労働基準法などを守ることはもちろん必要です。

それに加えて、外国人雇用では在留資格の確認や雇入れ・離職時の届出など、特有の手続があります。

今回の指針改正では、在留カードの確認方法に関する事項や、日本語学習支援などについても内容が見直されました。

外国人を採用できるかという入口の確認だけでなく、採用後も適切に働いてもらえる体制を整えることが大切です。

在留カードを確認するだけでは不十分?

社長

なるほど。外国人を採用するときは、在留カードを確認すればよいと思っていました。

ほかにも確認することがあるんですか?

北

在留カードでは、有効期限だけでなく、在留資格や就労制限の有無なども確認する必要があります。

在留資格によっては、認められる仕事の範囲が決まっているため、会社が予定している業務を担当できるかも重要です。

また、2026年6月からの改正指針では、本人の同意を得て、出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」を活用し、カードのICチップの情報と券面を照合することが適切とされています。

このアプリの使用が一律に義務付けられたわけではありませんが、偽造カードを見分けるための有効な手段です。

採用時だけでなく、在留期間の更新時にも確認するなど、担当者任せにしない社内ルールを整えておきたいですね。

日本語の勉強まで会社が支援する必要がある?

社長

外国人社員の日本語が十分でないと、仕事の指示がうまく伝わらないこともありそうですね。

ただ、日本語の勉強まで会社が面倒を見なければならないんでしょうか?

北

今回の指針改正では、外国人社員やその家族に日本語学習の機会を提供するなど、支援に努めることが明記されました。

ただし、すべての会社に日本語教室の開設を義務付けるものではありません。

例えば、地域の日本語教室を紹介したり、仕事で使う言葉を教える時間を設けたりすることも考えられます。

また、現場では難しい言葉を避けた「やさしい日本語」を使い、作業手順や安全上の注意が正しく伝わっているか確認することも大切です。

労働条件の説明にも注意が必要?

社長

なるほど。ところで、外国人社員にも日本人社員と同じ労働条件通知書を渡しています。

日本語が十分に分からなくても、書面を渡していれば問題ないんでしょうか?

北

書面を渡すだけでなく、本人が内容を理解できるよう配慮することが大切です。

例えば、勤務時間、賃金、休日、残業の取扱いなどは、必要に応じて母国語の資料や「やさしい日本語」を使って説明するとよいでしょう。

また、2026年10月からは、パート・有期雇用労働者を雇い入れる際などに、正社員との待遇差について会社に説明を求めることができる旨を明示する必要があります。これは外国人に限らないルールです。

会社としては、労働条件通知書の様式を見直すとともに、説明した内容や本人からの質問を記録しておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。

外国人を雇用したら、会社は何を届け出る?

社長

外国人を採用すると、日本人社員とは別に届出が必要なんですよね。

それに、来年から新しい外国人雇用の制度も始まると聞きました。今のうちに何を準備しておけばよいでしょうか?

北

外国人を雇い入れたり、離職したりしたときは、原則として「外国人雇用状況の届出」が必要です。

雇用保険の加入対象かどうかで届出方法や期限が異なるため、担当者が把握しておく必要があります。

また、2027年4月からは、技能実習制度に代わる「育成就労制度」が始まります。技能実習生を受け入れている会社などは、経過措置や新制度の要件を確認しておきましょう。

まずは、在留期限・届出状況・担当者を一覧で管理し、手続漏れを防ぐ仕組みを整えることが重要です。

まとめ

今回の外国人雇用管理指針の改正では、在留カードの確認方法、日本語学習への支援、労働条件の説明など、会社が適切な雇用管理を行うための事項が見直されました。

外国人を採用する際は、在留資格や就労できる業務の範囲を確認するだけでなく、採用後も職場のルールや労働条件を理解できる環境を整えることが大切です。

また、外国人雇用状況の届出や在留期限の管理など、必要な手続を確実に行うことも欠かせません。2027年4月からの育成就労制度についても、対象となる会社では計画的な準備が必要です。

外国人雇用を採用担当者任せにせず、確認事項や手続を社内の仕組みとして整えておくことが、トラブルの予防と安定した雇用につながります。

投稿者プロフィール

北 健夫
北 健夫社会保険労務士・行政書士
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北 健夫