中途採用で気になる職歴のブランク。面接で確認しておきたいこと

中途採用の応募者の履歴書を見ると、前の会社を辞めてから次の就職までに、数か月から数年間の空白期間があることがあります。

会社としては、その間に何をしていたのか、採用後の勤務に問題はないか、確認しておきたいところです。しかし、質問の内容によっては、応募者のプライバシーや公正な採用選考の問題が生じることもあります。

今回は、ある会社の社長とオフィスキタ代表・北のやり取りから、実務のポイントを整理します。

職歴の空白期間は質問してもよい?

社長

北さん、今度、中途採用の面接をするんですが、応募者の履歴書に2年間の空白があるんです。

前の会社を辞めてから何をしていたのか、面接で聞いても問題ないんでしょうか?

北

空白期間について質問すること自体は、原則として問題ありません。

ただし、採用する仕事との関係で必要な範囲にとどめることが大切です。

例えば、その期間に仕事をしていたのか、資格取得の勉強をしていたのかなど、職歴や経験を確認する質問は考えられます。

一方、仕事に関係のない家庭事情や病歴などを、必要もないのに詳しく聞くことは避けるべきです。

実際の面接では、どう聞けばよい?

社長

なるほど。では、あまり踏み込まずに聞く方がよさそうですね。

ただ、採用してから「実は長期間働けない事情があった」と分かるのも困ります。どんな聞き方をすればよいでしょうか?

北

まずは、「前職を退職されてから次のお仕事までの期間について、差し支えない範囲でご説明いただけますか」と、経歴の確認から入るとよいでしょう。

そのうえで大切なのは、過去の事情を詳しく探ることよりも、採用予定の仕事を現在きちんと担当できるかを確認することです。

例えば、勤務時間や担当業務を具体的に説明したうえで、勤務上の制約や必要な配慮があるかを確認します。

応募者全員に共通する質問項目を用意しておくことも、公平な採用選考につながります。

病気や休職が理由だった場合は?

社長

もし空白期間の理由が病気や療養だった場合はどうでしょう。

採用してから欠勤や休職が続くのも困りますし、健康状態は確認しておきたいのですが。

北

会社が確認すべきなのは、まず現在の就労能力と、予定する仕事への影響です。

例えば、「今回の仕事には立ち仕事や残業がありますが、勤務するうえで必要な配慮はありますか」といった聞き方が考えられます。

病名や過去の治療内容を、必要もないのに詳しく尋ねることは避けましょう。

病歴は法律上、特に慎重な取扱いが必要な個人情報です。取得する場合には、原則として本人の同意も必要になります。

育児や介護によるブランクは?

社長

なるほど。では、育児や家族の介護で仕事を離れていた人の場合はどうですか?

うちは残業をお願いすることもあるので、そこは確認しておきたいですね。

北

その場合も、家庭の事情そのものより、勤務条件との適合性を確認することが基本です。

例えば、募集している仕事の勤務時間や残業の見込みを説明し、「この勤務条件で働くことは可能ですか」と確認します。

家族の病状や家庭内の事情まで詳しく聞く必要はありません。

また、育児や介護による空白期間があるというだけで不利に扱うのではなく、本人の能力や希望する働き方を踏まえて判断することが大切です。

採用後に説明と違う事実が分かったら?

社長

もう一つ気になるんですが、採用した後になって、空白期間について面接で聞いた説明と違うことが分かったらどうなりますか?

経歴を偽っていたとして、解雇することはできるんでしょうか?

北

説明に虚偽があったからといって、直ちに解雇できるわけではありません。

その虚偽が採用判断にとって重要なものだったか、予定していた仕事にどのような影響があるかなどを確認する必要があります。

また、会社が実際に何を質問し、本人がどう答えたのかも重要になります。

だからこそ、面接では必要な事項を具体的に質問し、その回答を記録に残しておくことが大切です。

後から問題が発覚した場合も、まず事実関係と本人の説明を確認し、就業規則や法令に照らして慎重に対応する必要があります。

まとめ

中途採用で職歴に空白期間がある場合、その理由を確認すること自体は、原則として問題ありません。

ただし、空白期間があることだけを問題視したり、応募者の私生活を必要以上に詮索したりするのは適切ではありません。

会社が重視すべきなのは、応募者が予定する仕事を遂行できるか、勤務条件に無理がないか、必要な配慮があるかという点です。

そのためには、面接前に確認項目を整理し、質問と回答を記録しておくことが重要です。記録する内容も採用判断に必要な範囲に限定し、適切に管理する必要があります。

採用時の確認不足は、入社後の労務トラブルにつながることがあります。

会社としては、採用担当者の経験や勘だけに頼らず、質問項目や判断基準をあらかじめ整えておきたいところです。

投稿者プロフィール

北 健夫
北 健夫社会保険労務士・行政書士
依頼者様の悩みに寄り添い,親切・丁寧にサポートいたします。
少しでもあなたのお悩み解決の力になれればうれしい限りです。

和歌山県,大阪府南部や近県の方,あなたの周囲のお困りごとは,当事務所で解決できるかもしれません。
お気軽にご相談ください。

オフィス キタ
特定社会保険労務士・特定行政書士
北 健夫